・長さ 約738㍉
・重さ 約61.8㌘
・バランス点、フェルールから185-190㍉あたり
材料が現代弓では見たことがないもので、もちっとした弾力を持ち棹の細胞・分子レベルで弦を掴み楽器を鳴らしてくれる感覚があります。
バランスや操作性も理想のものです。
経年ゆえ、なかなかに傷は多く塗料の剥がれや打痕、フロッグ聴取側のテール側の角に小さな欠けあり。演奏に影響する内容のダメージ、明らかに寿命を限定してしまうようなものも見受けられません。
毛替えを今月行い、反りも微妙に足し直し、気になる曲がりもありません。
TOURTEの焼印が見て取れますが、主に材料やヘッド、スティックの作風が19世紀後期のドイツボウの名手の作風を彷彿とさせるように感じられてなりません。
思う存分に弾いていただいて、お手に合わないと感じられた場合は遠慮なくご返品ください。
(新しい弓に慣れるに数日程度では足りず、1〜2週間は必須、それでも短いかもしれません。納得なさるまで弾いてみてください)
・オールドボウについて私見
現代の弓はベクトルや傾向が(オールドボウに比べて)やや似通っているため、その中での優劣を判断して弓を選ぶのに対し、
より古い弓はそれぞれの弾き心地、感触、キャラクターがの差異が大きいため、より自分の好みにあったもの、という感覚で弓のチョイスをする感覚が多いように思います。
100-150年前くらいの弓を弾きそのあと現代弓〜7-80年くらいの弓を弾きますと、どうしても少し硬さを感じてしまいまして…
(逆にオールドボウはヘタっているものが多いという指摘をされることがあるのも事実ですが)
オールドで「粘り」と表現される柔らかな弾力の中に絶妙な芯、反発性を併せ持った弓の感触というのは、まさに「官能的」…純粋に気持ちよく、この感覚が音や音楽、リズムにもフィードバックされる気がしてなりません。
音に昇華される直前、弓に触れた指手腕ひいてはバイオリンに直に触れる手や体全身に感じるセンセーションがまずスイッチを入れてくれるように思えるのです。
柔らかさ、しなりの良さ、つよさ、といった表現だけでは伝えきれない弾き手を虜にする感触をもったオールドボウとしてお薦めする次第です。
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